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2021.05.14
県民みんなと対話ログ:とっとり県美応援団総会(2021.4.25)での講演-美術館計画について‐
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2021年5月7日公開〈前編〉からの続き ※前編はこちらからご覧ください。
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後半の鳥取県立美術館の紹介では、気軽に立ち寄れる「敷居の低い」美術館と県立施設としての「品格」を備えた美術館を両立するための工夫を、パースやCG動画もあり、参加者からは「具体的にイメージできるような説明で、わくわくし楽しみです。」と感想を頂きました。
建築と人との関わりに触れた話題では、空間をつくる「ものを創る」段階と、社会との関わりを通じて「価値をつくる」段階があり、竣工時がゴールではなく運営期間を通じてとっとり県美応援団の皆さんのように、そこで行われる多様な活動が館内にとどまらず、まちにも広がっていくことで地域の魅力も高まっていくと話され、質疑応答も含め、運営における建築のあり方も大切にされていることが伝わってきました。
会場との質疑応答
〈Q〉SDGsも話題になっているが、建築で環境配慮している点やユニバーサルデザインで意識した点は?
〈A〉地下水を利用して自然エネルギーで熱交換を行うしくみを採用しています。また、ひろまのような空間でも人がいる場所を集中して空調を効率的に行うようにしており、できるだけ省エネになるようしくみを入れています。
ユニバ―サルデザインの点については、一例ですが、フロアごとでレベル差を設けないようにし、出入りがどなたでも自由にできるようにしています。
〈Q〉県民が自慢のタネにできるような、これまでにない施設の特徴は?
〈A〉むずかしいご質問ですね(笑)常にこれまでにないものを建てようと考えて設計していることを前提に、以下4点。
・大御堂廃寺跡の存在(歴史的にも価値があり景観としても魅力的な場。そこを望む展望テラスやひろまの配置)
・ひろま、えんがわ、テラスと、屋内外で人が集い活動する場がある
・コミュニティの場にもなる
・県の持つコレクションを見る常設の場となる
そのような多様な空間での活動を通して、アートや人と出会えるような施設を目指しています。
〈Q〉大屋根の特徴は?
〈A〉平たい屋根は雪の多い地域のため、落雪して事故が起きないよう、しっかり屋根に雪を載せて安全性を保つため。また展望テラスの屋根部分は、1階まで光が入るようになっており、行ってみたいと思ってもらえるようになっている。
⇒「雪を落とさないことの方が安全という考え方は、初めて知りました」と驚かれていました。
〈Q〉柱が細いように感じるが建物の強度について教えてほしい。
〈A〉地震だけでなく強風にも耐えられるように展示室の壁全体でも支える構造となっており、垂直方向・水平方向どちらの揺れにも耐えうる強度があるので、ご安心ください。
⇒「それなら安心です(笑)」と会場は笑顔に包まれました。
〈Q〉鳥取県らしさをどう表現されていますか。
〈A〉よく聞かれる関心の高いご質問だと思います。いつも一言では表現できないと感じています。ここにしかないない建物をつくることがまず第一歩、建物ができたことがゴールではなく、使われていくなかで“らしさ”は形作られていくものではないか。
建築としてそのきっかけとして、居心地の良い空間をつくっておくこと、周囲の環境(町並みや自然)と積極的につないでおくことが条件だと考えます。倉吉市役所の水平方向の空間展開・つながりは日本の建築空間のあり方として魅力的なので、継承していくことは意識しました。
〈Q〉長谷川さんの思う鳥取らしさにイメージカラーがあれば教えてほしい。
〈A〉パースをご覧になると木の色以外「白」のイメージをお持ちになる方が多いと思われます。それは美術館の主役はアートであり活動する人々の姿なので、建物はあくまで背景として落ち着いた印象を大切にしました。
あっという間の1時間に、会場から「完成が楽しみです」「わくわく楽しみとなり、それに向かって活動していきたい」と嬉しい声も上がり、拍手のなか、お開きとなりました。
令和2年度には同様に18回ほど県内での説明会等に参加し対話をしてきました。そこではどんな美術館になるのか空間や運営など幅広くご質問をいただき、関心を持っていただいていることが伝わってきました。今後も社会情勢によって直接的な対話とオンラインシステムを掛け合わせて、県の東部・西部地域でも機会をつくっていく予定です。
◆施設整備計画についてもっと知りたい!という方は、長谷川さんがナレーションを入れている動画もおすすめです。