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【建設現場リポート】 まちと美術館の心地よい関係性(2023.10)

【建設現場リポート】 まちと美術館の心地よい関係性(2023.10) サムネイル

空が高く澄み渡り、気持ちのいい秋風が吹き渡るころとなりました。食欲の秋・スポーツの秋・読書の秋・芸術の秋と様々に楽しめる心地よい季節ですが、一瞬の儚さをともなう、そんなひと時ではないでしょうか。建設中の県立美術館でも東側の仮囲いがとれ、瞬く間に視界が開けました。今まで仮囲いによって塞がっていた空間が周辺と連続的につながり、奥行き感をもった視点で美術館の姿を捉えられるようになっています。この感動こそ、今しか味わえない儚いひと時とも言えそうです。これまで建設現場リポートでは美術館建設の中の様子をお届けしてまいりましたが、まちとのつながりがより鮮明に感じられるようになったこの旬なタイミングを捉え、外からの視点で美術館についてお届けしたいと思います。

▼近隣のまちから美術館へ

美術館の計画は、公共交通(鉄道・バス)、車、自転車、歩行者といった様々なレベルで人の動線を考慮し、訪れる人々がどんな景色を見ながら、どんな気持ちを持ちながら美術館へ向かうだろうかとイメージを膨らませ計画されています。鳥取県立美術館の近隣からのアクセス方法としては、公共交通や自家用車が主ですが、徒歩もおすすめです。美術館の周辺では、絵下谷川(えげだにがわ)沿いに並木道が整備されており、春になると満開の桜に包まれます。現在はほんのりと葉っぱが紅葉しつつあり、彩り豊かな景色が広がっています。

そして絵下谷川沿いの並木道からマロニエ通りへと曲がると、桜からバトンタッチし、通り名のとおりトチノキの街路樹が続いていきます。葉っぱがぎゅっと集まり一本一本独特のシルエットを成しており、あたかも生き物が立っているかのようです。「美術館はこちらだよ!」と、誘ってくれているようにも感じます。

美術館の徒歩10分圏内のエリアに四季折々の自然の変化を楽しめる心地よい歩行空間があることで、美術館での体験とともにまちの景色も訪れる人々の記憶の1ページに刻まれることでしょう。

▼まちに溶け込むデザインやスケール感

こちらは美術館の北側の通りです。3階のボリュームをセットバックさせ、壁面の高さを13.5m程度におさえることによって、歩道を歩く人や北側住宅地への圧迫感を感じさせない様に配慮されています。また、1階の外壁面を2階よりも引っ込め濃灰色とし、さらに竪樋(たてどい)の配置によって壁面にリズムを与えることで、建物の表情を生み出しています。大御堂に面した南側だけでなく、美術館北側の姿においても倉吉のまちと調和するよう様々な工夫をしています。

▼美術館東側/歩道工事が開始

バスから降りた人々が、美術館と大御堂廃寺跡が一体となった景色に胸躍らせながら、この歩道を経由して美術館へと向かうのだろうなと、そんなシーンを想像させられます。

▼まちにとっての美術館

華美な形態や素材ではなく、大屋根などの水平性と細い柱群による垂直性という日本建築らしいシンプルな構成による鳥取県立美術館。この地域の文化や風土に根差したとても親近感のあるデザインですが、まちという広域的な視点で見てみるとどうでしょうか。足場や仮囲いが徐々にとれ、美術館周辺から様々な視点で観察すると、水平にすっと大らかにのびる「大屋根」の存在が際立って見えてきます。この「大屋根」のもと、近隣のまち並みや大御堂廃寺跡と一体的につながりながら、様々な人々が行き交い、半屋外の「えんがわ」や「テラス」を介して吹抜け空間の「ひろま」で多様な活動がくり広げられ、大きなガラス越しに外からもその様子を垣間見ることができる。そんなシーンを想像すると、まちと人を懐深く受けとめてくれる「大屋根」は、このまちの方々にとって「大きなお家」のような拠り所になるのではと思います。

さいごに...美術館周辺のお散歩で小さい秋みつけた!

いつもは車で通り抜ける道をゆっくりと歩いてみると、そこかしこに秋の気配がありました。柔らかな色彩に包まれ、ほのかな香りを纏った秋風にふれることで、五感が開かれていくような心地がします。

そんな五感が研ぎ澄まされるこの秋に、鳥取県立美術館は「開館までほぼ500日前」を迎えます。5月の上棟イベントでも地域のみなさんと大事な節目をお祝いしましたが、二度とないこの貴重な機会をみなさんと共有したく、「開館500日前プレイベント」を開催します。ステージイベントの他、アートワークショップの数々、そして竣工前最後となる建設現場見学ツアーなど、内容盛りだくさんです。五感が開かれる体感をともにいかがでしょうか。ぜひ遊びにきてください!!詳しくはこちら↓↓↓をご覧ください。
【お知らせ】11月5日(日) 鳥取県立美術館 開館500日前プレイベント開催

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