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2024.02.27

【イベントリポート】「もちつもたれつ」の関係性をつくる / アーティストトーク KOSUGE1-16 代表 土谷 享

イベント概要

2月25日(日)、鳥取県立美術館開館1年前カウントダウンイベント『どんどこ!巨大紙相撲 ~とっとりけんび場所~』関連企画のアーティストトークを、倉吉の打吹回廊で開催しました。
アーティストの話を直接聞くことができる貴重な機会に、イベントに関心を持つ方や、地元倉吉商店街の関係者の方などが熱心に耳を傾けていました。

新たな視点でアートを考える

一般的に私たちが思い描く美術館は、壁に絵画が展示され、それをひとつひとつ鑑賞していく場所です。私たちは美術館を訪れると、作家の作品を鑑賞者として楽しむことになります。そこでは作品を見て、感動したり考えさせられたりする。

しかし、アートはたんに鑑賞するだけでなく、ときには鑑賞者が参加者となり、作家が観客となることもあるのではないか?今回のアーティストトークでは、KOSUGE1-16のこれまでの活動を紹介しながら、従来の美術館とは異なる視点からアートを考えるきっかけとなりました。

もちつもたれつの関係性をつくる

KOSUGE1-16 の土谷さんの活動の場は「美術館」にとどまらず、「まち」にひろがります。たとえば作品『自転車の為の抜け道の為のバリアフリー』では、下町の家屋の一階を、自転車の抜け道として解放することで、自転車や犬の散歩、また時には蕎麦屋の配達が行き交うようになり、にわかにその場所は色めき立ってきます。

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© kosuge1-16

『自転車の為の抜け道の為のバリアフリー』の詳細はこちら(美術館ウェブサイトを離れます)

そして、ひとびとの行き交うなかで、さまざまな技術や考えをもつ「まち」の住人が自然と集まり始め、やがてそこが遊びの実験場となって息づき始めます。

それまでアートを「みる人」でしかなかった「まちの人」は、いつしかアートを「ささえる人」になり、「する人」になる。美術家KOSUGE1-16が展開するアートの舞台では、アートを「する人」「みる人」「支える人」という役回りはつど入れ替わり、渾然一体となりながら、みんながプレイヤーとして、「もちつもたれつ」の関係を織り上げていきます。

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それは、私たちがこれまで思い描いてきた従来の美術館にくらべると、とてもにぎやかで、そして大人も子どもも愉しげです。そこには一方通行でない、「対話」が生まれている。この「対話」の場には、私たちの日常生活を活気づけるような活動の芽、アートの芽があるといえるのではないでしょうか。

アートの源泉

トークイベント後の交流会では、会場から土谷さんへの質問が次々と寄せられ、また、アンケートでは、「アートにたいする考え方がかわった」とか、「子どものころ、じぶんで遊び道具をつくったことを思い出した、これもアートの源泉なのかな思いました」また「主催者と参加者といった関係にしばられず、みんなで楽しめたらいいと思いました」「多様性を活かしたまちづくりに展開できれば面白いと思った」といった声が寄せられました。

もしかしたら、私たちはアートを美術館の収蔵庫に閉じ込めてしまっていたかもしれません。アートはもっと身近で、いつでも気軽に会いに行ける、遊び相手だったのかもしれない、3月の開館1年前カウントダウンイベント『どんどこ!巨大紙相撲 ~とっとりけんび場所~』も、そんなことを感じながら楽しんでもらえるイベントになれば嬉しいです。

このイベントを通して、私たちの新しい美術館がめざす「みんなでつくる美術館」を感じてもらえたらと思います。

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