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2023.03.30

【開催報告】OPENNESS!未来をつくるデザインフォーラム(2023.03.21)

2年後の2025年春開館を目指す、鳥取県立美術館。
3月21日に実施した開館2年前カウントダウンイベントの様子をお届けします。
開催案内はこちら

本イベントは鳥取県立美術館のロゴ・シンボルマーク決定の節目となる機会に、多くの方に美術館整備運営事業の開館準備状況をシェアし、「デザイン」をテーマに第一線のゲストを迎えて共に美術館のあり方を考え、期待することを持ち寄ることで、開館がみんなの共通の楽しみになるように、と企画しました。

第一部:鳥取県立美術館ロゴ・シンボルマーク発表!

鳥取県立美術館のロゴ・シンボルマーク審査結果発表と、各賞の授賞式を行いました。
2022年に一般公募し、全国・海外から応募総数1726点も届いた作品のなかから最優秀賞として選出したのは、原寿夫さんの作品です。

鳥取県教育委員会の足羽教育長・梅田美術館整備局長よりロゴ・シンボルマークをおひろめした後、原さんご自身からデザインコンセプトを紹介いただきました。
受賞後のメディアインタビューでの原さんの言葉の通り、気軽に美術館に来てアートに触れてもらいたい、そのしるしとして、みんなに愛されるマークと美術館になることを期待しています。

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▲最優秀賞:原寿夫さん

また、会場には優秀賞の河村葵翔さん、審査委員特別賞の坂本真奈花さんも出席してくださいました。今回受賞者の皆さんには賞状と、副賞としてJA鳥取中央さんご協力のもと栗原代表理事組合長より、鳥取県の特産品も贈呈しました。本公募を機に、末永く県立美術館と、鳥取県とつながりを感じてもらえたらと願いを込めています。

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▲(写真左)足羽教育長と優秀賞:河村葵翔さん
▲(写真右)栗原代表理事組合長と審査委員特別賞:坂本真奈花さん

※ロゴ・シンボルマークのデザインコンセプトおよび公募の各賞受賞作品、関連展示の詳細は下記ページをご覧ください。
ロゴ・シンボルマークが決定!優秀賞、特別賞、応募作品もご紹介します

第二部:スペシャルトーク 美術館とデザインとの幸せな関係

美術館にとってデザインは活動の根幹にかかわるテーマのひとつです。
建築のデザインにはじまり、サイン計画や展示プラン、広報物やカタログのデザイン、さまざまな分野におけるデザインの集大成として美術館とその活動が存在しているといってもよいのではないでしょうか。
ロゴ・シンボルマーク審査結果発表・授賞式に合わせて、「デザイン」をテーマに、西澤徹夫さん(建築家)、桐山登士樹さん(デザインディレクター)、大田佳栄さん(スパイラルキュレーター)を迎えたスペシャルトークを開催しました。
参加者は関係者を含めて約80名、県内はもちろん、静岡、東京、大阪などからもお越しいただきました。

まずは鳥取県立美術館の開館準備状況を紹介

イベントを機に鳥取県立美術館のことを知る方もいることや、施設整備・運営ともに開館準備が進んでいることから、建築プラン、コレクション、ラーニング、運営のコンセプトなどを、紹介しました。
最近の建設現場の様子や「ひろま」の多様な使い方、コレクションの方向性、今年度から始まったHATSUGAスタジオの取組みや、サポーター・プレイヤーなどみんなで“つくる”運営のしくみなど、プレサイトや資料では伝えきれない熱のこもった最新情報を届けました。

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▲建設現場の様子も紹介

ゲストトーク

続いてゲストの皆さんから、それぞれの専門分野の視点から活動紹介と、鳥取県立美術館にも通じる美術館やアートの可能性を投げかけていただきました。

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西澤さんは「美術館とその周辺のデザインについて」と題し、これまで携わってこられた展覧会会場の設計や、東京国立近代美術館をはじめ、京都市京セラ美術館、八戸市美術館の設計プランの特徴や工夫点・取組みなどを紹介されました。
その中でも、ラーニングを大事にしている八戸市美術館の取組みは、敢えて目的が明確な専用の諸室を設ける、家具の高さを工夫してこどもから大人まで利用しやすくする、学芸員と来場者、来場者同士が学びあいやすく、多様な活動が受け止められるような柔軟性をもつなど、工夫が随所にあります。それらが美術館の新しいあり方・使い方を可能とし、美術館の持続可能性や今後の活動への期待感を持ちました。
「展覧会に紐づかないプロジェクトベースが今後の美術館のラーニングでは主流になっていくのではないか」と話され、アート・ラーニング・ラボ(A.L.L.)を推進していく鳥取県立美術館と通じるところを感じました。

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桐山さんは副館長を務める富山県美術館を例に、デザインと美術館の関係、美術館のあり方を提示いただきました。美術館は開かれた場であり、わくわくする場、脳へ何かしら刺激がある場・子どもたちの感性に響かせる場であってほしいと話され、デザイン業界を変える一つの方法として、展覧会を会場構成からキュレーションまで担当されています。
「これからの時代、人間の身体性や可能性を含め良好な関係をつくっていくデザインであるべきだし、特に若い世代も含め多くの方と考えていくべき時代であってほしい」と、開館5周年記念展では、デザイナーの思考を覗くような場として、各作家たちが自身で解説したり、脳科学者・中野信子さんを招き、ただ鑑賞するだけでなく、深く考える時をつくる、作家と一緒につくりあげることを体感していく場を持たれたそうです。
「富山県をデザインと産業の両輪でより盛り上げていきたいし、文化を通じて人づくりをしていきたい。そういった人流交流関係を持っていきたい」「自然と一体となることが人をインフルエンスする。富山は立山連峰、鳥取は大山を望むことがどれほど豊かなことか。ひとりひとりが豊かな生活を送るために美術館が寄与することがある」と、クロストークへのつながりを期待するお話しでした。

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大田さんは、鳥取県立美術館と同じ槇総合計画事務所設計の複合文化施設・スパイラル(東京・青山)で、「生活とアートとの融合」を館内外で実践されています。今回はその中でも、まちを舞台にしたアートプロデュースを通じて、アートとまちや人との関わりについて紹介いただきました。
アートとデザインの関係を、クエスションとアンサーとし、アートを軸にコミュニティやフード、建築、教育など多様なデザインのベクトルがあり、仕事をつくっていくことや、アートプロデュースをアーティストの視点を持って、多様な職能を持った人と仕事をし、それを色んな地域にもたらしていくこと、と示されました。
また、社会のあらゆる側面でそのプロセスにアートを取り入れる“アーツ・インテグレーション”の考えは、平和な生き方が必要な今だからこそ、このような方向性が大事ではないかと、会場に投げかけられました。
これまで携われた横浜市の象の鼻テラスや道後オンセナート等全国各地での事例を通じて、まちの人が媒介となり主役となるあり方、まちの風景を変えそれを見てまちの人がでてくること、アートを通じて問いを社会に示したり、施設が愛着を持たれコミュニティが生まれていく様子など、鳥取県立美術館の県民参画の取組みに通ずるお話を頂きました。

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クロストークでは、モデレーターとして鳥取県教育委員会の尾﨑振興監も入り、展覧会の構成において建築家が関わることで生まれる変化や、美術館でデザインを重要視する重要性、コミュニティや持続可能な美術館運営のあり方など、短時間で広がりあるトークが展開されました。
会場からもデザインと教育の可能性、問いの立て方、富山県美術館のオノマトペの屋上についてなど、質問が多く出され、盛大な拍手と共に閉会を迎えました。

参加者からは「美術館の可能性が感じられるお話がたくさん聞くことができました。設計だけでなく運営企画などを含むトータルデザインの大切さも感じ、県美への期待が高まりました。」「デザインにテーマを絞ってお話を繰り広げられたことで美術館に対する解像度が上がったように思います。デザインを仕事や生活の一部としている人間にとってとても有意義な時間でした。特に桐山さんのお話は昨年の保坂さん(滋賀県立美術館ディレクター)と同様に運営資金や地域連携に触れ、今後の未来の美術館をつくるという意味では、取り入れていかないといけないなと思いました。」など、建築を学ぶ学生さんからシニア世代まで多くの感想を頂きました。

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第二部登壇者(左から 敬称略)
・尾﨑 信一郎(鳥取県教育委員会美術館整備局 美術振興監)
・松田 浩幸(槇総合計画事務所 設計担当)
・長谷川 龍友(槇総合計画事務所 設計担当)
・西澤 徹夫(建築家)
・桐山 登士樹(デザインディレクター・富山県美術館副館長)
・大田 佳栄 (スパイラルキュレーター)
・赤尾 靖枝(鳥取県立美術館パートナーズ 統括マネージャー)
・三浦 努(鳥取県教育委員会美術館整備局美術館整備課 参事)

参加者の皆さん、ゲストの皆さん、協力・後援いただいたJA鳥取中央、鳥取県デザイナー協会、県立美術館と共に歩む中部地区の集い協議会、とっとりプラットフォーム5+αの皆さん、14人のサポーターの皆さん、開館2年前を盛り上げていただきありがとうございました。

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